扉を開けると、老夫婦がシモンを出向かえた



爺の方は、パーキンスといって立派な髭がトレードマークの小柄な好々爺

婆の方は、ローズといって、髪型から化粧まで若作りに余念がない


「二人がいるって事は、今は、勉強の時間かな?少し邪魔するけどいいかい?」


シモンがにこやかに問い掛ける


「ダメだと言っても無駄なんでしょう」


パーキンスも、にこやかに返す
どうやら気心の知れた仲らしい


「ささっ、シモン様。奥の部屋でカイン様がお待ちですよ」


「待ってた?俺が来る事を知ってたのか?」


不思議そうに、シモンが首を傾げる


「さっきの笑い声が部屋の中まで響いてきたんですよ。また衛兵をからかってお遊びになられたんでしょう」


「…フフッ、そういう事か」


シモンは、苦笑しながら奥へと進む



再び現れた扉を軽くノックして、中へと入る


「カイン、いるか?」


「いるに決まってるだろう。幽閉されてんだから」


シモンの皮肉とも取れる問い掛けに、間髪入れず少年が答えた


少しの沈黙の後で、二人の笑い声が重なった