王城の地下に不思議な部屋がある


本来、地下は、罪人を捕らえておく牢獄になっているのだが
一番奥の部屋だけは、王族の部屋のような造りになっている



比較的、最近造られた部屋のようだが不自然極まりない



だが、扉の前には、衛兵が二人
槍を持って立っている


どうやら中に罪人がいる事には、変わりないようだ



「…祭だっていうのに、こんな所で悪魔の見張りかよ」


「まぁ、交代が来るまでの辛抱さ」


二人は、愚痴をこぼしながら見張りの交代が来るのを待っていた



カッカッカッ…


石で造られた通路に足音が響く


やっと交代が来たかと顔をほころばせ、足音の主を見た


二人の期待は、すぐに驚愕へと変わった


「…お、王子!?」

慌てて姿勢を正し、片膝を床に付ける

目の前に現れたのは、この国の第一王子

『シモン・ハリスザール』その人なのだ


「お前達の職務に対する愚痴、しかと聞かせてもらったぞ」


王子は、厳しい顔で衛兵達を見据える


一瞬で、顔が青ざめる衛兵達


国家に対する反逆と取られて、どんな厳しい沙汰を受けても文句など言えないのだ


沈黙が辺りを包む