恭平が入院してるとき、
この上ない絶好の機会だと思い、
柚というメイドを呼び出した。


部屋に入って来た柚は、
ビクビクしていた。


…………それもそうだろう。

柚にとってわたしは、
“当主”なのだから。


恭平の父…柚にとっては…
“主人”にあたる…
日向 塁(ルイ)に
呼び出されるならまだしも、
わたしに呼び出される
“日向家に仕える使用人”など、

まず、いないのだから―…。