「はぁ………」
―――仕事がようやく終わり、
部屋のベットに横になった途端、
ため息がもれる。
「お疲れさま」
「………麗奈様…」
―――音もなく、
部屋に入ってきたのは、
麗奈様だった。
「様付けしなくていいのに」
苦笑いでそう言う麗奈様。
「それは出来ません」
―――確かに。
あたしのご主人様は。
もう…日向家の人じゃないけど。
あたしの、“心”は……。
「今日、恭平が来てたでしょ?会
った?」
―――知ってか知らずか。
麗奈様はそう聞いてきた。
………………まったく…
潤といい麗奈様といい…
なんで…なんで恭平の話ばかり
してくるのよ…?

