「彼女はいないけど、好きな女は
いる」
「へ〜…ちょっと意外かも…。そ
うなんだ?」
「その女のおかげで、柚とのこと
を、“過去のいい思い出”に出来
たんだ」
「………そっか」
―――あたしも、だよ。
あのときあたしを
助けてくれた潤には、
感謝してもしきれないよ。
「…柚。これからもよろしくな。
…今度は、“仕事仲間”として」
「うん」
そう言ってかわした握手。
―――数年経ってたとしても、
その間全然会わないでいた
としても…
…………普通は。
こんな関係にはならない…
………てか、なれないと思う。
…………だって、
今は何ともないとは言え、
元は好きだった者同士だよ?
普通だったらありえないと思う。
―――だけど。
あたしと、潤だから、
なれたのかもしれない。
“仲間”に。

