「恭平」
「…んあ? ……何?」
翔と朔は、まだぎゃあぎゃあと
騒いでいて。
………いちいち答えてるのが
めんどくさくなった俺は、
少し離れたところから、
2人の言い争いが終わるのを
ぼんやりと眺めていた。
―――言い争いの内容は
自分のことなのに、
なぜか超他人事(ヒトゴト)のように
見ていられる自分が、いた―…
………そんなとき、
ずっと黙って、
良いとも悪いとも、
何も言わないでただただ、
話を聞いていた斗真が、
話しかけてきた。
「―――それで、いいのか?」
―――ゆっくりと…
だけどはっきりと、
斗真はそう言った。
「それで後悔、しないのか?」
―――短いけど。
ちゃんと、
意味のこもった言葉だった。

