†李玖Side†
―――親父から話を聞いたとき、
親父は、最低だと思った。
……………恭平を、
立派な執事にしたいと思う
親父の気持ちは、
どちらかと言えば、わかる。
恭平は、自覚こそないが、
姉貴を抜いた俺ら兄弟の中で、
群を抜いて優秀だ。
…………だけど。
優秀な執事である前に恭平は、
1人の“人間”。
恋をすることなど、
当たり前な話で。
相手にも相手の過去が
あるのだってまた、
当たり前な話。
―――親父は、
それを否定している。
俺は、
そんな親父と…
そして、それと同時に、
親父のそんなやり方が、
心底気に食わない。
………否、
“気に食わない”んじゃない。
“最低”なんだ。

