「ふ、フランス…?」
最低でも3年って…。
「翔様がもうすぐ帰って来るでし
ょ?」
「う、うん…」
でも、それとこれって、
どういう関係があるの…?
「日向家の執事は必ず、一回は海
外に留学して、知識や経験を、積
んでこなきゃいけないって規則が
あるらしいの」
「…………」
「………だけど当初、恭平様は、
その対象には入ってなかった」
「……………どうして…?」
「…………姫華様がいらっしゃっ
たから。ずっと…恭平様の主人で
いる予定だった。…だから、そん
なのは、必要ないって判断された
の」
「………………」
姫華、様……。
「……ごめん柚。もうやめよう?
…こんな、根も葉もないウワサ」
―――“姫華様”に、
ばっちり反応したあたしに
気づいた雅は、
話をやめようとした。
……………だけどあたしは。
「平気だから、話して。矛盾して
てもいいから、雅が聞いたことを
全部―…」
……………それをあえて聞く。
ここまで聞いちゃったのに、
聞かないなんて、
そんなこと、出来ない―…。

