庶民♀♂御曹司【短編】






「ねぇ。顔色悪いよ?」


「だろうな。最近、寝ても食べても無かったからさ…」



「なんで…?」



そんなにお仕事が忙しいの?


こんな顔色を悪くするまで…?



「お前のこと、ずっと考えてた…。空港で待ってるって言ったけど、来てくれるかな…って。あの日からずっとずっと考えてた。」



「えっ…!?」



「食べたかった。寝たかった。身体では食べなきゃ駄目だ。寝なきゃ駄目だ…って思ってたし、分かってた。でも心が追いつかなくて…マイナスのことしか、浮かばなかった」



私のせいで…ここまで…悩んでたんだ…。



「結衣が責任を感じることねぇ―よ。俺が勝手に『待ってる』なんて言ったからさ。来てくれるなんて、夢にも思って無かった…」



光芽は私を後ろから抱きしめた。


私は恥ずかしさで顔を前に向ける。



「やっと、やっと手に入れられた…結衣を俺のものにできた…」