「カイト、覚えてる? ちっちゃい頃見に行った真っ赤な紅葉!」 急に明るい顔を作ってミソラは身を乗り出してくる。 「ああ、高山の」 燃えるような紅葉の山。 夕暮れに烏が鳴く、童謡に出てきそうな景色を小学校入学前に見に行った。 身体に触るからミソラは車の外には出られなかったけど、いつか紅葉狩りに行こうね、なんて安易な約束を覚えている。