「なんで、突然いなくなったんだ」 海斗は、沈みゆく太陽をぼんやり眺めながら問うた。 「海斗が連れてってくれないから」 「そっか…」 海斗も美空も特に表情は変わらずに。 「心配した?」 「別に」 「嘘だ。息荒いもん」 「…お前、よく見つからなかったな」 この海は、美空の病室からすぐ見える海岸。 どうやら美空がこんな寒いところにいるとは考えなかったらしい。