「彼女が――…消えた?」 正確にはいなくなったという。 けれど、病室は荒らされて窓は破られていて、二階のミソラの部屋なら窓から侵入してきたことも否めない。 「職員で探しているんですが依然として行方不明で――…」 おどおどする看護婦長さんの言葉など耳に入らず。 『紅葉…』 その二文字だけが脳裏に浮かび上がってきて、僕は急いで病院を出た。