法螺吹きテラー



確かにこの顔は、見覚えがありすぎる。

見れなくなってからも、
何度か夢に見たりもした。

ちゃんと憶えている。


だけど目の前にあるのは、
どこか違う気がした。


それを詳しく問われれば、
答えられないかもしれない。

だけど確実に、
神花先輩だけれど、神花先輩じゃない。

そう感じた。



ところでこの窓は、
開いているのだろうか、
閉まっているのだろうか。

どこにもガラスの存在を感じられない。

だけど入ってくる風は無い。

そんな事を考えた時、


「憶えてる?」


唐突に、背後から声がかけられた。