「丁度今のように、 低い太陽に作られた長い影。 ほら、手足は細長いだろ?」 喋りながら、 先輩は手を曲げ伸ばしする。 床の影は、 実物よりも長く、遠くで動く。 「ふとした拍子に影が、 もっと長く伸びて、 持ち主の体を掴むんだ。 そうして何処か、 違う世界へと連れ去ってしまう」 「……不謹慎ですよ」 じとりと先輩を睨み付けるも、 向こうへはまったく効果が無い。 そして笑いながら、 「嘘だよ」 いつもの単語を発する。