やっぱり、戻ろう。 例え悪戯だったとして、 根性無しと笑われてもいい。 俺は、この先へ行きたくない。 そう思って、踵を返そうとした。 なのに、非情な足は、動いてくれない。 そして踊り場の誰かは、 止まっていた誰かは、 俺と同じ上靴の誰かは、 その足を1歩、踏み出した。 その時。 「なあ、もう1人の自分にあったら どうなるのか、知ってる?」 そんな声が、背後からかけられた。