「……あ、起こしてしまったかな?」
そこにいたのは、
3年の……確か神花先輩のクラスの担任で
国語担当の高尾(たかお)先生だ。
「いえ、逆に丁度よかったです」
下手に熟睡してしまうと、
友人が戻ってきた時、起きなくて
そのまま置き去りにされる可能性がある。
だから俺は苦笑して、先生に答えた。
「えっと、ちょっとここの教室に
忘れ物をしてしまってね」
取りに来たんだと、先生は言った。
「あ、もしかしてあれですか?」
教壇の上に、飾りのついたボールペン。
うちの担任はこういうのを使わないし。
多分、あれが先生の忘れ物だろう。


