「なあ佐野君、話を聞いてくれないか?」 「……なんですか?」 「まあ、嘘なんだけどね」 いつもの台詞を前置きに、 先輩は話を始めた。 「まだ旧校舎が新しかった頃、 いじめを受けていた生徒が居たんだ。 その生徒は、終業式の日、 教室のロッカーに閉じ込められてしまった もちろん加害者側も、 鍵を閉める前に教師が気が付くだろう。 そう思っての事だった。 だって、 誰も殺人者にはなりたくないだろ?」 「……そうですね」