『旧校舎の体育倉庫に、
古い、跳び箱があるだろう?


あの中にはね、女の子が入っているんだ。


元々あの跳び箱があった学校で
昔火事があって、
跳び箱は焼けはしなかったけど、

落ちてくる物に当たらないよう、
その中に入っていた少女は、
結局煙やなんかで、命を落としてしまった


その少女が今もね、助けを求め、
あるいは一緒に隠れていようと、
やってくる人を誘うんだ。


だから、
見つからないように気を付けろよ?』



先輩は、そんな事を言った。



そして何故だか今日に限って、


『嘘だけど』


あのお決まりの文句を言わない。



頑張れと手を振る友人に見送られ、
俺は旧校舎へと向かった。