専属☆プリンス ―1st mission―

「…お前は…本当に世話がやける」


背後から耳元でため息混じりでこんなセリフ。


えっ…


次の瞬間には腰の辺りを掴まれ、担がれるような体制になる。

「ひゃぁ!」


黒塗りの車がぶつかる瞬間の間一髪だった。


えっ…ナニ?

どうなってるの??

誰…?!


黒い車は急ブレーキをかけて私が居た辺りに止まり、まるで私達の様子を伺っているようだ。


私はというと、まだ担がれたままの状態…


?!


「…やっぱりな…走れるか?」

少し低めの優しい声音。

未だに顔は見えないけど、微かにシトラスの香り―


「…は、はい…」
状況が飲み込めてないけど無意識に返事をする。


彼はスッと私を道に降ろして立たせると、次にはギュッと腕を掴んで走り出す。