だいぶ走ったように感じる―。 息も絶え絶えになりながら、もつれそうになる脚をどうにか前に出す。 掴まれた腕が私をここまで引っ張ってくれた。 でも もう限界…かも…。 私、運動あんまり得意じゃないんだった、特にマラソン。 「…ごめん…なさ…もう…ムリ……です…」 途端に彼がピタッっと止まる。 もういつの間にか日が暮れて、東の空から深い藍色の夜が訪れ始めている。 人通りの少ない路地を走ってきたから、ここがどこだかわからないよ。 「はぁ…はぁ、はぁ…」 私はその場にヘタリ込んだ。