「陸が…あんなに賑やかなの…津波以来初めてだね…。」

僕の言葉に、

「そうね…。私達海の仲間にも被害があったけど…、人間も、下を向くのをやめて、この花火を見上げて、前を向かないとね…」

と、お母さんが言った後…。

「簡単な事ではないがな…。」

いきなり、オババの声がした。

いつの間にか、オババが顔を出していた。

僕達親子は、オババの言葉に頷くと、打ち上がる花火を見上げながら、生き延びた命が、残念な事になった命の分まで、幸せになる事を願ったのでした。