「兄・・さま」


伸ばした手が兄に届く事はなく、兄がミリアに向けたのは銃口だった。



そして、戸惑う事なくその引き金を引く。


虚しく銃声が辺りに響く。

ミリアは人ごとの様にその音を聞いていた。

「う・・・・・っ!!」

銃弾はミリアの左足を貫いた。

「兄・・・さま?」

それでもなお、ミリアの瞳は兄を求めている。

すがるような瞳を兄に向けた。



けれど返ってきたのは氷のような冷たい視線・・・・