「兄さま・・・?」

それは、紛れもなく兄だった。

あの視線の持ち主は間違いなくこの男であるのに、その事実さえミリアには分からなくなっていた。

ただ・・兄が生きていてくれた事が嬉しくて・・・



自分を護る為に戦場に残った兄。


ずっと心残りだった・・・・


生きて・・生きていてくれた・・・


「兄・・さま・・」

いっぱい・・いっぱい話したい事があるの・・・


私・・頑張ったんだよ?



でももう、一人じゃないんだよね・・?




・・・・この時まではそう思っていた。





だから、震える手を兄に伸ばした─────‥‥