その日は雨。
一人の少女が傘を手にたたずんでいる。
「・・雄平」
アパートが火事になってから一月がたっていた。
瓦礫となった建物は撤去され、今は野原の如くになっている。
焼け跡からは雄平の遺体も比呂の遺体も見つからなかったが、あの日から二人の姿は忽然と消えてしまった。
「どこにいるの?」
少女は毎日この場所に通っていた。
もしかしたらひょっこり雄平が帰ってくる様な気がして・・
雄平が無事なのかも、どうしていなくなってしまったのか、もしかしたら事件に巻き込まれてしまったのか・・
何もわからない。
少女には、ただ待つ事しか出来なかった。
傘を持つ手に力がこもる。
少女の頬を伝うものが涙なのか、傘の先から零れた雫であるのか少女自身分からなかった。


