「えっと、ど、どちらさまですか?」
私の前にはまるでアイドルのような顔立ちの青年。かけた黒ぶちメガネの奥から爽やかに微笑んで私を見ている。
「おっと、申し遅れました。私は国領防衛部署の第4班隊長の夕夏といいます。真海さんをお迎えに参りました」
「・・・?コクリョウボウエイ???」
「はい。今日で真海さんは14歳になられました。この年齢から事実上、真海さんは大人になるわけです。ですから、真海さんを私が引き取りに参ったのです」
「ひ、引き取りって、何処に?」
夕夏さんの瞳が光ったような気がした。
「真海さん、アナタは今日から国領防衛部署に入ってもらいます」
私の思考回路がぐるぐると回って、そして停止した。何が何だか理解できない。
「どう・・いうことですか?」
「その話は後でします。ここですと、少々危険ですので。あ、そうそう」
完全にスルーされて、話を変えられた。夕夏さんをみると、グレーのスーツの下からなにやらキラリと光る、ネックレスを取り出していた。ネックレスは銀色の王冠の中に海の底のような色をしたバツ印が入っているデザインだった。それを私の前に差し出すと、夕夏さんは言った。
「お誕生日おめでとう」