「何を、したの……!?」


突然起こった出来事にリオは困惑していた。

今までに何度も魔法は見てきたが、これ程までに漆黒に輝く光は見たことがない。


「リオを死なせてはいけない。……最後の希望だから」


リオたちを取り巻いていた黒い光が動き出した。その全てがリオに入り込んでいく。


「……ッ!」


黒い光が全て吸収されると、リオはその場に倒れ込んだ。

リオの後を追うようにハルトも倒れ込む。

自分の上で意識を失っているハルトの躰からは生きている証が感じられない。


きっとハルトは……。


魔法の影響で意識が薄れ行く中、リオの瞳に満月が映った。


いつもとは違う、妖艶に輝く紅い月。


その月を見上げ、リオは初めて自分の運命を呪った。

近づいてくる複数の足音を聞きながら、幼女は深い眠りに堕ちた。



一筋の涙を流して――…。





















そして物語は現在へ続く――――。