自分の存在の意味を知ったときからこうなることはわかっていた。

でも、現実はこんなにも苦しくて、辛くて……。

溢れだす激情を抑えられない。










不意に体から温もりが消えた。

ハルトが肩を掴み、躰を引き剥がしたのだ。

顔を上げるとハルトの真剣な瞳とぶつかった。そのまま固まってしまったかの様に動けなくなる。


「……怖いのはリオだけじゃない!僕だって怖いよ。でも、約束したから……」


肩を掴んでいる手が震えている。

自分にも死の危険が及ぶというのに、彼は約束してくれたんだ。自分達に与えられた運命を知った日に。


『何があってもリオだけは絶対に守り抜く』と。


リオは震えているハルトの手をとり、自分の手を重ね握り締めた。


「ずっと……一緒だからね」


「うん。ずっと側にいる」


その時来客を報せる呼び鈴が鳴った。











外は先程の穏やかさなど嘘のように荒れ始めていた。

風が吹き荒び、木々が唸っている。

月は雲に覆い隠され、暗闇が支配していた。