ゼロは今までと大差ないが、ユノの方は人格までも変わってしまったのではないかと思わせるほど纏う雰囲気が変わった。

顔つきは真剣そのもので、先程までの無邪気さは微塵も感じさせない。

「この近くで魔法を使用した者がいるみたいですね」

「確かめに行くよ」

「わかりました」

二人は魔法が発動されたであろう場所へ向かって走り出した。



その姿を見ていたものが居たことを彼らは知らない。





――――――……





「この辺り、ですよね?」

二人は立ち止まり、辺りを見回した。

「ユノ!」

ゼロが何かを発見したようで、ユノを呼ぶ。ユノはゼロの隣に歩み寄った。

「……人、だよね?生きてる?」

ゼロは倒れている人に近付き、安否を確認する。

「気を失っていますが、生きています」

それを聞いてユノも近付き、意識のない少女の顔をまじまじと見つめた。

「……ねぇ、この子が『崇高なる双翼』なんじゃない?」

「この子が?」

ゼロも少女の顔を覗き込んだ。

「確証はあるんですか?」

「そんなものはないッ!」

ユノが即答する。その態度は先程までの無邪気さを纏っていた。