永久の灯火†久遠の祈り

間もなくしてアクイラが主人の元に舞い戻った。

『主人、すまない……』

アクイラは自分の不甲斐なさに目を伏せた。

「……いや、足止め出来なかった俺も悪いんだ」

主人が珍しく弱気になっている。何か余程のことがあったのだろうが、アクイラはその理由を知らない。

男がアクイラの背を一撫でする。

「何がお前を変えたんだよ、カリス……」

俯く男は強く拳を握り締めていた。

『主人……』

男はしばらく苦悶の表情を浮かべていたが、深く息を吐き出すと、顔を上げた。

「あいつがアタラクシアに捕まると面倒だ。先に見つけ出すぞ」

男はそう言うとアクイラの背に飛び乗った。

もう男の声に落胆の色はない。

『御意』


アクイラには主人が抱えているものはわからない。だが、その苦しみだけが痛いほど伝わっていた。


アクイラは莉人が落下した地点へ向けて飛び立った。