永久の灯火†久遠の祈り

眼下に広がるのは鬱蒼と生い茂る緑の森。

運が良ければ死にはしないだろうが、無傷では済まないだろう。



その時、莉人が落ちたと思われる場所から眩い光が漏れた。

「魔法、か」

黒いローブの者が仮面の奥で小さく呟く。

『莉人様!』

森の中へ向かおうとするアクイラを黒いローブが妨げた。

「心配せずともこの様なところで死ぬような奴ではない」

『しかし――』

「大人しく引き下がれ」

『…………』

アクイラが今にも飛び掛かりそうな勢いで睨み付ける。

「そう睨むな。今日のところはもう手出しせん」

まだ腑に落ちない様子のアクイラに凛とした声が付け足した。

「下に、奴等がいる。我は退く。奴等と関わるのは御免だからな」

その言葉を鵜呑みにしたわけではないが、アクイラは一度空を旋回すると元来た方向へ飛び去った。



「アタラクシアめ……」

アクイラが引き返したあと、残された黒いローブの者が森を見て呟いた。

直後ローブを翻すと、その場から消えた。