「それでも行くのでしょうね?」

完全に闇から月明かりの下まで出てきた彼女は、酒場で出会ったままの格好をしていた。
それでもデイル達は緊張を解こうとはしなかった。

「もしかして、私を疑ってます?」

疑心暗鬼でいたデイルの眼前でまたあの時の氷霧が突然現れたのである。やはり詠唱は無かった。ただし、あの時は気付かなかったが、あのペンダントだけが妖しく輝きを発していたのである。
何となく眼前にいる少女はあの時の少女であると判断したデイルは、今まで張っていた緊張を解き武器をしまったのである。その行動に驚いたのはセリアと、もう一人の仲間であるベルガスである。
ベルガスなんかは初見である。こんな場所に少女が1人でいるはずないとデイルが武器をしまっても緊張は解けなかった。しかし、当のデイルは嬉しそうに少女のいる場所に近付いていった。

「来てくれたんだ。ありがとう」

そう言いながら。
さすがにリーダーがああでは、こっちが何時までも戦闘態勢でいる方が悪いような気がしてきたベルガスも武器をしまったのである。
しかし、白黒は違えど同じ魔法使いのセリアだけは何となく違和感が残った。しかし、気がついたら2人とも少女の所である。そんな疑問も傍らに消し去りセリアも少女の所に駆け寄ったのであった。