Mind of ice

その問いには老婆が答えてくれた。

「そもそも時空の因果律は強くての、その時空にいられる人間の数は決まっておるのじゃ。」

「でも、それはセリアが飛んで相殺では?」

「そこが違うのだ。リアーゼがいた時代に誰かが代わりに戻らないと、終わらんのじゃよ。」

「では、この時代からも誰かが?」

「グランドールの兵士が1人、五年前から行方知れずになっとる。」

セリアが多分この地に来た頃と同じである。まさか、そんな事が起きているとは予想すらなかった。

「この連鎖を断ち切るために、時の女神が動いたのじゃ。
しかし、連鎖を繰り返し過ぎた因果律は時の女神をもっても戻せなかった。」

「………」

「そこで、時の女神は最後の手段を試行した。それは、ある時代の飛ばされる人物を強引にリアーゼの時代に飛ばしたのじゃ。しかし、それは同時に時の女神の力すら奪った。結果、時の女神は人間界に落ちてしまった。」

「では、私達が探している人はもういないと言うことですか?」

「いいや、時の女神は生きておる。だからこそリーナ様が…」

「オババ。」

その先を語ろうとした老婆に軽く睨むリーナ。どういうことなのか気になったが、リーナの様子から聞くことは叶わなそうであった。