Mind of ice

『魔導師』
この言葉なら知っている。
知識を得るため、書庫で片っ端から本を読んだ。その時に読んだ、『白黒魔法と魔導』によれば、

『今使われている魔法の基礎こそが魔導であり、それを使う者を魔導師と言った。
その力は壮絶であったが、魔導師はなぜかある村に産まれる娘にしか能力を宿さなかった。
それを普通の人でも使える用にあみ出されたのが、魔法である。

しかし残念なことに、能力までは無理であった。百人の魔法使いより１人の魔導師の方が強かったのである。

そのため、時の権力者が魔導師の反乱を恐れ、その時代にいた５人の魔導師を全員罠にかけて亡き者にしてしまった。
そして、その後に新たな魔導師が産まれないようにその村さえも襲い、全てを根絶やしにしてしまった。
以来、魔導師は産まれなくなり、必然的に魔導も失われた。』

(今は無き魔導師の能力が自分に？)

疑心暗鬼にとらわれているセリアに優しく微笑む老婆。

｢なぁに、ちょいっと…｣

そう言うと、何やら念じ始めた。その途端、セリアの座っていた場所に魔法陣が浮かび始めた。

｢これで、魔導師の能力は取り戻せるはずじゃ。｣

魔法陣による意識介入の為なのか、頭が割れるように痛い。

｢あぁ〜っ！｣

悲痛な悲鳴と共にその場に崩れたセリアを見たデイルが助けるため立ち上がろうとしたのだが、リーナがやんわりとそれを制止した。

｢大丈夫です。その証拠に、セリアさんの魔力が更に上がってますから。｣

確かに、魔法陣が中にいるセリアの魔力のためなのか、かなり歪んでいた。

その歪みが最大になった時、発光と同時に魔法陣が消え、その中にセリアが倒れていた。