Mind of ice

リーナの表情が微かに曇ったことに気付く2人は、表情だけでリーナに問いただした。

「このケーキに使われている材料の中に、魔族特製の猛毒が仕込まれてます。」

それを聞いた2人はビックリした。特に食べようとしたセリアは尚更であった。
しかし、見ただけで気付いたリーナ。

「なぜ、判るんだい?」

「これは、人間の嗅覚では判らない位匂いが薄いだけです。獣なら確実に食べないですよ。」

そう答えたリーナ。

「でも、当の魔族はもうこの街にはいないみたいです。」

リーナはザクザクとホークでケーキをつつくと、一枚の紙片が出てきた。
それを開いて見ると、魔族からの伝言であった。

『まさか、これを読まないで逝ってないでしょうね。
そちらには神族がいるはずだから大丈夫よね。
とりあえず、この間の借りは返しますから、楽しみにしていてね。 レクア』

レクアと言えば、確かリーナが倒したセイレーンを使い魔にしていた、水を司る魔族。
とうとう親玉の登場である。

「これは早めに預言者に会いに行かないとまずいかも…」

リーナはそう言うと、デイルとセリアに顔を向けた。
それを見た2人は微かに頷き、出発の準備にとりかかった。