「な、何っ?」

「どうかしら、魔族特製痺れ香の威力は?」

どうやら、この香りが原因らしい。が、それより何より、この女性が言った一言が気になった。

「ま、魔族ですって!?」

(魔族が何故こんなところに…)

セリアがそんな事を考えると、偽セリアがそれを読んで答えた。

「あら、あなたの相方って魔族の中でも有名なのよ。だから、どんなもんかなぁ〜って思ってね。」

どうやら、デイルを狙っているようだった。このままではデイルが危ない。しかし、今の自分だけでどうにかなる敵でもない。ここはひとまずこの家から出ないことには。

目の前の偽セリアは魔族みたいだが、入口を守っている男2人はどうやら人間みたいだった。

(全身に痺れが回る前なら、どうにかなるかも…)

そう考えたセリアはすぐに行動をおこした。

「ライティング!」

目潰しのライティング。突然の閃光に、流石の魔族も一瞬たじろぐ。その間に飛翔系の魔法を唱え、飛んで活路をみいだしてみた。
痺れを耐えながら、入ってきた扉に全力で飛び込む。そこは店の入口で、その先に出口が見えた。

(後少し…)

どうにか、追っ手がくる前に脱出は出来そうであった。

(ここさえ越えれば…)

そう思い出口に飛び込んだリーナの前に、なぜか偽セリアがにこやかに立っていた。
出口に飛び込んだはずが、何故かまた先程の部屋に飛び込んだようであった。

「えっ!?」

信じられない光景であった。確かに外の灯りが見えた出口に飛び込んだはずである。しかし現実は元の部屋。何が起こっているのか解らないでいたセリアに、偽セリアがクスクス笑っていた。