「やはり…」

それを聞いたデイルは少し落胆した。

「それで、私からも質問があります。」

改まったリーナはき然とデイルを直視しながら質問をしてきた。

「あなた達はなぜここを目指していたのですか?」

「…いや、それは依頼があったからで…」

そう答えるデイルであったが、何もかもを見透かしているような瞳に目線をそらす。

「それは私から話しましょう。」
デイルが振り返ると、ベッドに寝ていたはずのセリアが起きていた。

「大丈夫か?」

素早くセリアの横に駆け寄るデイル。

「えぇ、ただの気絶なだけだから。」

そう、デイルに答えながらも、顔はリーナを見ていた。

「確かに私達はここ、サリュート城を探していました。」

「セリア!」

制止するデイルに小さく頭を振る。

「彼女に嘘は無理みたいよ。」

確かに、全てかどうかは解らないが、ここの存在を知りつつ来たことはバレている様である。

「私は彼と出会う前の記憶がないのです。」

セリアは淡々と自分の経歴を語っていた。
五年前にグランドールから少し離れた街道で倒れていた自分を見つけたのが、彼だった。
目を覚ました私は記憶が無く、覚えていることは、自分の名前と…この城の名前だけだった事。
身寄りのない私の為に、傭兵家業を始めてサリュート城を探していた事。
そして、自分も何かしないとと思い、たまたま使った魔法の能力が桁外れだった事。

「それで、ここの話を聞きつけたのですね。」

「はい。」

リーナはセリアを見ると憂いのある微笑みをした。

「あなたが、今の状況を打破するには、時の女神に会うのが一番なのですが、あいにく今は不在です。ですので、ヤルマの近くに預言者がいるので、その人にあなたをみてもらってみましょう。」

ここでは何も出来ないと言うリーナ。

「ただ、あなた達は今は魔族に狙われているはずです。だから、仲間を1人付けさせますね。」

倒したのが神族でも、そこに人間がいた事はバレているらしい。先が思いやられる…。

そして次の日、城門前で待っていたのは、少女に戻っていたリーナであった。