そうと決まったら皆の行動は速かった。セリアは

「本気!?」

と言ってきたが、リーナの言うことも確かで、そろそろ詠唱に入らなければならない時間である事も確か。
なら五分の確率に賭けるしかない。それに、デイルはいつもの感が「成功する」と叫んでいたからである。
その為、リーナもそれ以上の追求はしなかった。ベルガスにいたっては…である。

彼らはテレポがしやすい場所に移り、セリアは詠唱を始めた。リーナは目を閉じて精神を安定させているみたいだった。デイル達は、魔物が襲ってこないか警戒していた。しかし、そんな事は杞憂に終わり、セリアの呼び声がかかった。

「じゃ、行くよ。」

セリアの声に一同頷き返すとそれが合図の如く辺りに光が立ち込めた。テレポが発動と同時にリーナのペンダントも輝きを増した様に見えたが、次の瞬間には全員がテレポの光に飲み込まれていた。そして次の瞬間には目的地に着いていた。

辺りから光が消えるとそこは、最悪な事にリーナの方が正解で、トロルとオーグが周りを囲んでいた。まるで来ることが解っていたが如く…。
だが更に最悪な事に、トロルキングまでいて、まさにそのトロルキングの一撃がリーナに迫っていたのである。