｢だけど、二回目はなかったの…。そう、失敗して時空の狭間に飛ばされてしまったの。
以来、反唱魔法は廃れてしまったの。｣

デイル達は言葉を失い、だけどリーナだけは動揺もせずにそこにいた。
ここまでくるとさすがのデイルも、リーナの進言に賛同するわけにはいかなくなった。
だが、リーナの話も事実だとすればそれもそれでかなりまずい。デイルは出口のない葛藤に最悩まされた。
しかし、時間は待ってはくれず、目的の時刻はすぐそこに迫ってきていた。

｢過去に試した例は二つだけです。確率は半分ですから大丈夫ですよ。それより、そろそろ詠唱に入らないと時間合わせられませんよ？｣

どこにそんな自信を持てるのか解らないが、真っ直ぐな目でデイルを見つめるリーナ。

｢よし、反唱魔法でいってみよう。｣

いつもなら慎重に決めるデイルであったが、この時は何故かいけるような気がしたのであった。