【神楽side】






それからさらに数日が経った頃、私の怪我もすっかり良くなったため入隊試験が行われることとなった。







「怪我、すっかり良くなったみたいだな」







道場で軽く素振りをしていると平助に話しかけられた。







「うん」





「……で?誰が神楽の相手するんだ?」






原田さんはチラリと土方さんを見やりながら言う。







「そうだな…背格好も年も近い平助が適任だろう」





「へっ?俺!?」







突然の指名に平助は狼狽える。






「土方さん、総司と戦わせてもらえませんか?」







私は先日した総司との約束を思い出していた。







確か破ったら総司の言うことを何でも聞かなくてはならないという恐ろしい条件付きだったはず。







ところが皆、私の提案に目を丸くしている。







「や、やめとけって神楽。総司って剣を振るうときは容赦ねぇからさ…」





「そうだぜ。相手なら土方さんの言う通り平助が適任だ」






するとなぜか平助と原田さんに全身全霊で止められる。






「でも私、総司と前に約束…」






総司に助けを求めようと視線を巡らせると含みのある笑顔を向けられた。