その夜、あたしはベッドの上で適当にウォークマンの中の音楽をランダム再生しながら、美香とメールしていた。

すると不意に、ある恋の歌が流れた。

歌詞の内容は失恋。
そして…以前彼からのメールが来るとすぐ分かるように設定していた曲だった。

自分が入れた曲なのに、何故だかとても切なくなってきて、しばらくなにを考えていたか分からなくなった。

西野カナの、「君に会いたくなるから」…



会いたかった 寂しかった
でも何一つ君に 言えなかった
君の声 少しでも聞きたくて…
強がっていること 気づいたなら 優しくしないで
君に会いたくなるから



もう本気で忘れなきゃいけない。
考えちゃいけないのは分かってるのに、どうしてなのかな…

すごく…真斗に会いたい。

例えメールや写真、ペアのキーホルダーやペアリングも、全部なくなったとしても、あたしの心からはいなくなってはくれないの。

あなたは悪くない。
悪いのはあたしだから…


と、しばらく何もしないでいると、ふいに握っていたケータイがブルブル震えだした。

その瞬間、あたしはバカな事に、そのメールが真斗から来たのだと、小さな期待を持っていた。


でもその期待は、画面を開くとスッ…と消えてしまった。