今日はテスト明け初のバンド練、やっぱり皆勉強漬けだったからか、前より失敗が目立った。特にあたしは声が裏返った((笑

「海音ーしんどいー」
「ちょっと休む?」
「いや、大丈夫。やろー。」

幸い、あたしの所属するバンドは皆真面目な子ばかり集まってくれた。
なかなかの上級者であり、頼れるメンバーだった。
どちらかと言えばあたしは、この1ヶ月でだいぶ遅れを取ってしまった…
今、その遅れを取り戻すのに必死です

時間を確認すると、時計は後15分で17:00を指す。

「あと2回くらいできるけど、どう?」

あたしはマイクを使って皆に呼び掛けた。

「最初っから?」
「んー‥いや、2番から。」
「OK」

あたしたちのバンド練はいつもこんな感じ。


「お疲れ様ー。」
「「お疲れ様ー。」」

こうして今日も無事、バンド練が終了した。
振り返ると、付きっきりで見てくれた先輩と、顧問の先生と、興味本位で聞きにきて下さった先輩が数人いた。

「坂本さん。」
「ぁはい、」

バンド練が終わると、あたしは先輩からアドバイスを頂いて、それをあとでメンバーにも伝えている。

「全体的に特に気になるところはないけれど、ちょっと表情が皆必死になりすぎて固くなってるから、もうちょっとリラックスして演奏するといいよ^^」
「はい、ありがとうございます。」

山本先輩は、2年の女性ボーカル。
今度コンクールへ出場する、凄い人。
先輩の歌声はきっと、誰がどうしたって真似できないだろう…
いつしか山本先輩は、あたしの目標になっていた。