修は、綾を連れて、砂美島の海辺にやってきた。

「わぁ…綺麗だねぇ」

「うん。ここは、いつ来ても綺麗だね。海も砂浜も。砂美島。その名の通りだね。大事にしなきゃね」

「うん」

修の言葉に、綾は、素直に心から共感した。


「あっ」

綾は、ふと、見つけた。

「どうしたの?」

「あれだね」

そう言って、綾は、見つめた。

修は、綾の視線を辿った。


視線の先に、真っ白な建物があった。

「あぁ!アトリエって言ってた場所」

「うん。素敵な建物だね。洋風のお洒落な別荘だ」

「行ってみようか」

「うん」


二人は、歩みを進めた。

「あっ!」

急に、綾が声をあげたので、修は、驚いた。
綾は、歩みを止める。

「何!?どうしたの?」

修は、目を丸くして尋ねた。

綾は、あることに気づいて、修に提案した。

「日が沈んでから、行かない?」

「ん?日が沈んでから?」

「うん!」

綾は、満面な笑顔を浮かべている。

修は、理由がわからなかったが、綾が、とても素敵な笑顔をするので、それに引き込まれていた。

「あぁ、わかった。じゃあ、おじいちゃんの所に行く?」

「うん」

二人は、向きを変えて、修の祖父の家へと歩みを進めた。

「なんだか、緊張するなぁ…」

「大丈夫だよ。全然、緊張することないよ」

「そう?」

「うん」

「でも、やっぱり緊張するよぉ」

そんなことを話しながら、二人は、綺麗な砂浜を歩いていた。