どれくらいの時間がたったのだろう。
先生は抱きしめる腕を緩めることもなく、何も言わない。
時計の音だけが部屋に響く。

「………先生??」

私の呼びかけに先生はハッとしたように私を体から離す。

「ごめん、痛かった??」

私は首を横に振る。
先生は安心したような微笑みを浮かべ私の頭を撫でた。

「矢野さんには、もっといい男ができるよ。俺なんか好きになっちゃダメだよ…」

先生は悲しそうにそう言うと、部屋を出て行ってしまった。