そりゃあ天空宮市は、他の街や都市とは一線を画している。

この都市は魔法と科学とが混在する『文化文明の坩堝』。

空を飛竜が行き交い、鎧を纏った騎士やローブを翻らせた魔術師が遺跡や迷宮を冒険する数キロ先では、成層圏にまで達する軌道エレベーターが聳え立ち、魔法エンジンによって動く自動人形『メイドール』やエルフの美男美女が携帯電話片手に会話している。

インターネットカフェで魔力と回線を利用したマジカルネットを使って悪魔の歌姫の最新楽曲をダウンロードしているかと思えば、学校では生徒達が魔法や祓魔術、対魔物の為の剣術や体術を学んでいる。

最新と最古、最先端と古の技術が渾然一体となって成り立っている都市。

それがこの不思議な街、天空宮市だ。