いつもその人は上向きで歩いていた。



その男の人を見るときも上向きだ。





俺が見ている事に気づいた彼女は
ニッコリ笑って言う。

「気持ちいー天気だねっ!」



俺は俯く。

彼女は特に気にした様子もなく、茶髪男と歩いていった。



「…晴れなんて嫌いだよ」

ボソッと呟く。






眩しいんだ。

太陽も
上を向く彼女も
その金髪も
笑顔も
茶髪の男も
それら全部が

「………遠いんだよ」


せめてあと少し縮んでくれたら。
せめてあと少し俺が伸びたら。



俺は眩しい全てを見上げなくてすんだのに。



.