私はその言葉に怒りも悲しみも覚えなかった。




きっと高弘は今まで全てを一人で抱えてきたんだ。



人に話すことも頼ることも知らない。



人に裏切られても愛にはかてない。



高弘はまだ美里の残像と生きている。



前の私ならさっきの言葉を聞いて泣き崩れていたかもしれない。



でも私はこの人を信じると決めた。



この人の初めての支えになると。



高弘は人を愛せるが自分を愛していない。



昔の私と同じなのかもしれない。



だからこれから二人で二人の明日へ



ゆっくりと。