『朱莉起きろよ』



[う~ん]



『朱莉帰る前にまた風呂入ろうよ』



[先に行ってていいよ]


『なんだよ~。一緒に行こうぜ』




[もうちょっと寝たい。寝るの遅かったから]



『だから早く寝ようって言ったのに。じゃあ先いくよ』



結局、朝方まで眠れなかった。



{美里}



その名前が頭から離れなかった。





[私も温泉行こう]



チェックアウトぎりぎりで温泉にはいる人なんていないのか


貸し切り状態だった。




静かな空間にチョロチョロと温泉の流れる音だけが聞こえる。




あ、やばいもうでないと。



部屋に戻るともう帰る準備ができていた。



『朱莉急いで


[あ、うん』



ありがとうございました。


旅館の女将さんが深くお辞儀をして見送ってくれた。



『朱莉大丈夫?』



[え!なんで?]


『なんかぼっとしてるよ』


[あ、大丈夫だよ]



私の頭の中は{美里 }


その名前でいっぱいだった。