私は思った。


愛は目に見えることだけじゃない。


目には写らなくてもひそかにでも確実にお互いの中に積もる。


親の愛も同じだったのかもしれない。



目に見える愛情を注いでもらった覚えがなくても

私が生まれた時点でそれは愛情なんだ。


友達も


連絡をくれる子だけが友達じゃない


私の状態を察し、そっとしておいてくれる。



私はないにもない毎日だと思っていた。



{なんだあったんじゃないか}


私はそっとみんなの愛に包まれていた。



包まれていて見えなくなっていたのは私だ。



高弘は、人を深く愛せる人間だ。



今はまだ全て私に注がれていないかもしれない。


でもいい。


私の力でそれを変えてみせる。


高弘の中の美里を追い出してやるんだ。



ゆっくりとでも確実に。





[もしもし朱莉、明日遅刻するなよ。]


[明日は、俺達の3ヶ月記念日だよ]