目の前が中華街の明かりに包まれて


にぎやかな街の声が聞こえる。



[朱莉急いで]



『え!』


[走って。]



私の手を引いてて街の


群集にまぎれた。


私は意味もわからず走る


[あ~。間にあった。]


そこは小さな中華屋さんだった。


[ここうまいんだよ]


[閉店ぎりぎりだけどね]

[今日はここに連れてこようって決めてたから]



『すごいうれしいよ。』



{高弘のこんなサプライズ好き。}



ご飯を食べ終わると

色々寄り道して

アパートに着くともう朝方だった。




『今日はありがとう。』


『本当に楽しかった。』



{まだまだあるよ。}


え。


{楽しいことまだまだあるよ。}


そう言いながら高弘は


キレイなブルーのリボンのついた箱をさしだした。


『何?』


{2ヶ月記念のプレゼント。開けてごらん。}



箱の中は私の好きな絵のついた時計だった。


{前に朱莉時計嫌いだって言ってたじゃん。}

そう。私は時計が嫌いだ。


なぜなら

私が今まで刻んできた時間に

いい思い出がないからだ。

[でも時計は楽しい時間を計るためでもあるんだよ]



[だから俺といて今日みたいに楽しい時間たくさん作ってさ。]


[時間があるのって、生きるのって楽しいなって思ってもらえたらいいなって。