eye

ピンポーン。

私は、大きな深呼吸をしてドアを開けた。


[こんばんわ。]


{あ、どうぞ。}



[おじゃましまーす]



高弘は私をじろじろと見た。


私は高弘と目が合わせられない。


お茶でも飲む?


[うん。]


なんだかさっぱりした部屋だね。



{あ、うん。}


あたしはちらと高弘を見た。



高弘は背が高くガッチリした体格だった。

でもやっぱり顔は見れない。



あたしはとりあえずテレビをつけた。


あたしが好きなケツメイシのプロモが流れている。


高弘は急に黙りこみテレビを真剣に見ていた。


沈黙な時間が流れた。


でもあたしはその沈黙の空気が心地よい。


曲が終わると高弘は振り返り私を見て


[この子かわいいよね?]


{え!あはは。なんだぁ~}


{急に黙りこむから何かと思ったよ。}


{あはは。あはは。}


[かわいいね]


{あ、うん。この子モデルだよね。}



[朱莉ちゃんが]


え!


[朱莉ちゃんもかわいいよ。]


[笑った顔はじめて見たから]


[俺がここに来てからずっと俺のことみないし、下ばっかり見てるから]

[暗い子なんじゃないかとびっくりしたけど]



[笑った顔めちゃめちゃかわいいね。]


{私は長袖の下の傷を掴んだ}